2016年5月31日火曜日

与那国島(2)

3/26

朝のお仕事を終えて、のんびり出発。「車のドアを開けっぱにしてたら風にもぎ取られちゃったって人もいるから気をつけてね!」と宿の人に教えられて「そんな馬鹿な・・・」と思っていましたが、外に出ると風が強い。うーん、この島では強風はデフォルトのようです。だからこそ鳥が休憩するんでしょうけどね。
とりあえず島内最大の水場である久部良ミトへ。ハシビロガモ、キンクロハジロ、オオバンなど見慣れた水鳥を見て、最西端なのに・・・と不思議な感じ。ハシビロなんかは奄美でもよく見るのでかなり南方に降りてくるカモなのかもしれないですね。
池の周りをウロウロしていると、藪から聞き覚えのある声が。冬に隣県で確認したムジセッカでした。「チョッ、チョッ」とウグイスよりもだいぶ高く、ミソサザイに少し似た声。本土ではレアな鳥も、この島では普通に越冬しているようです。ムジセッカの姿を探していると、バーダーの男性が現れたので挨拶。名刺を交換したりして少し情報交換をしていると、なんと自分が与那国に行く前に下調べとして何度も読んだ探鳥記を書かれた方でした!こんなこともあるのですね~。何か出たらよろしくです、とお互い告げて、場所移動。
比川集落にある水田も、島内有数の水鳥スポット。先ほどの情報交換でシギチが何種か入っていると教えてもらったので期待が高まります。まず目に入ったのはオジロトウネン。本土でも珍しくありませんが、飛来数が少ないのでじっくり観察するチャンスはなかなかない種。車を横付けして、じっくり撮影できました。

オジロトウネン。夏羽でも目立つ色にはなりませんが、肩羽付近にオレンジ色の夏羽が現れています。かわいい 
/ Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)

ほかにも、田植えの終わった田んぼを双眼鏡で確認すると、いるわいるわ、タカブシギ(40±!)、ツルシギ、アカアシシギ、アオアシシギ、ウズラシギ、セイタカシギ、コチドリ、タゲリ、その他諸々。珍しい種はいないものの、普段田んぼのシギチはあまり見ないのでもうこれだけでテンション上がってしまいます・・・見上げるとツバメに混じってすこし大きめの鳥が。この時期に見るのは初めてのアマツバメ。車の窓から撮っていると、シギチが何かに驚いて一斉に飛び上がりました。案の定、猛禽が頭上を過ぎて行ったので慌てて証拠を・・・確認するとハイタカ・・・ハイタカ?!こんなところにも来てるんですねぇ。ハイタカが東シナ海を一生懸命飛んでる姿なんて想像できません。

 この田んぼで最も多くみられたタカブシギ。写真からも風が強いことが分かるかと / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)


 ツルシギ久々に見た!と喜んでいると・・・ / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)


 1羽のアカアシシギがやってきました。ちゃんとRed Shankどうし仲間意識があるのか、自然にツルシギの群に合流。真っ白な次列風切が眩しいッ! 
/ Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)


 1羽だけいたタゲリ。冬に見る雰囲気と少し違うような・・・と思っていましたが、夏羽へと移行中のようですね 
/ Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)


アマツバメは3羽。一緒にとんでいたツバメと比べると、やはり大きい! / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)

田んぼのすぐ上の林の中を散策してみると、初めて見る蝶たちに出会えました。いずれも南西諸島では普通種ですが、本土では見られない種なので嬉しい。同じ宿に泊まっている蝶屋さん曰く、今年の春は天候が微妙で蝶の活性が低いとのこと。確かに、島内では飛んでいる蝶をほとんど見かけませんでした。

 リュウキュウヒメジャノメ。本土のヒメジャノメに酷似しています/ Nikon D300,TAMRON SP AF90mm  F/2.8 Di MACRO 1:1


こちらはクロボシセセリ。気温のせいか黒紋が未発達のようです / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)

集落の海岸には、Dr.コトー診療所のドラマで使われた建物がありました。近くの小学校も春休みなのか人気(ひとけ)もないし、とても静か。美しい海岸に一人で降りて、「ああ、最西端に一人で来てしまったなぁ」と改めて実感しました。

ドラマ「Dr.コトー診療所」のセットとして使われた建物。ほんと海のすぐ近くにあります  
/ Nikon D300,SIGMA 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM

小学校の前にある岸壁を歩いていると、芝生にヤツガシラ。他にも校庭にはホオジロハクセキレイ、シマアカモズ、シロガシラなど与那国らしいメンツがいましたが、人がいないとはいえ小学校に向かって双眼鏡や望遠レンズを向けるのは気がひけるので、あまり粘らずに場所移動。
久部良ミトに再び寄ってみると、年配のバーダー4人グループに遭遇。なんでも仲間で何度も与那国に来ているそう。彼らもつい最近島入りしたということなので、過去の話などを聞かせてもらっていると、遠くに腰の白い鳥が飛んでいるのを発見。双眼鏡で覗くと・・・「ツバメチドリ!」実は憧れだったツバチの初見がこれとなりました。
昨日一番に行った東崎に行ってみると、昨日と同じ道路の道端にまたヤツガシラが。しかしこの個体、なかなか神経質で最徐行で近づいても一定距離を保ってしまいます。昨日かなりの数がいたオオチドリは5羽のみ。群が分散しているのかな~とのんきにあたりを散策中、藪の中からカエルのような声が。「カエル?いや移動してるから鳥だな・・・なんだこれ?」と硬直していると、枝の隙間からとてっと姿を現したのはなんとノゴマ。ノゴマってこんな地鳴きだったか!とほとんど鳴き声を予習しなかったことを反省。いや~でも姿を見れて良かった!じつはこれも初見。
牛舎の周りでジョビ男さんに遊んでもらってこの日は宿に帰りました。

アダンに止まるジョウビタキ。後ろは海! / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)

与那国、めっちゃたのしい!


つづく

2016年5月15日日曜日

与那国島(1)

3/25

仲間が寝ている中、お先に失礼してタクシーでフェリー発着場へ。起きれなかったらまずいと思って結局ほとんど寝ていなかったのに、ここから初めての一人旅なので緊張と楽しみで眠くなんてありません。待合室で久々にテレビを見て、ここ一週間ほとんど世間の出来事を知る機会がなかったな、と思いました。
フェリーは5:50奄美発、19:00那覇着。酔い止めも飲んで、あとは寝るだけ!と思いつつも、久々の(14年ぶり?)のフェリーなのでちょっとワクワク。外に出て海を眺めてみたり、売店に行ってみたり、ウロウロしてみましたがやっぱり眠くなったので二等船室にゴロン。あら、案外居心地いいじゃない。

 旅の疲れを癒すには十分すぎました / iPhone 5S


昼過ぎに船内レストランで安いカレーを食べてみましたが、揺れるところでの食事もなかなか面白いもんでした。酔いに強い体質で良かった~。

到着は夜なので那覇で一泊。宿のロビー前で外国から来た旅行客のお兄さんとサッカーを見ながら、明日の行動予定を反芻。明日はシビアな乗り継ぎなので気をつけねば。

翌日、6:00前に那覇空港前へ到着。直前に知ったのですが、那覇空港は夜は閉鎖してるんですね。この日一番最初の客でした。
8:15、石垣島。ここからが問題で、石垣港へはバスで移動なのですが、飛行機を降りてからバスまでの時間はわずか。計画時から「ここで預け荷物がすぐ来なかったら詰みだな・・」と思っていました。しかし幸いにも荷物はすぐ流れてきて難なくバスへ。ふー、良かった。バスから初見のコウライキジが見えたので、思わずニヤけました。

離島ターミナルバス停で下車し、足早に港の対岸にある船着き場へ。そう、西の果てへのフェリーは、本来の離島ターミナルの反対側にあるのです。行く前にちゃんと調べといて良かったと心底思いました。

さて、いくら酔いに強い体質といっても、これから乗るのはゲ●船と名高い「フェリーよなくに」。出航前に時間を考えて酔い止めを飲み、和室に自分の場所を確保し、体を進行方向と平行に向けて寝転がってスタンバイ。
10:00、ついに出航、さぁこい!

二時間半ほど経った頃でしょうか、何気なく窓の外を見ると、船のすぐ横を並行して飛ぶ大きな鳥がいるのに気付きました。「きたー!」と心の中で叫びながら、レインコートとカメラを持って外へ。久々のカツオドリとの対面でした。波が高く船が大きく揺れ、海水がひっきりなしにかかってきますがお構いなしに撮影。

こんなに近くで見たのは初めて!/ Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)

はじめは1羽だったカツオドリは最大で12羽まで集まってきました / iPhone 5S

そんなことをしているうちに波は徐々に収まり、ついに今回の最終目的地、日本最西端の与那国島が見えてきました。ついに来てしまったなぁ、一人でも来れたなぁとしみじみ。

レンタカーを借りて(送迎車がそのまま今回借りるレンタカーだったのには内心笑いました)、日没まで少しあるのでどこに行こうと考え、やはり一番期待していた東崎へ向かうことにしました。
東崎へ向う途中、道端からこちらに驚いてバッと飛び立つ鳥影。その特徴的な翼の模様に思わず「ヤツガシラ!」とまたもや心の中で叫んでしまいました。とにかく日没まで時間がないので車道を歩く馬を避けながら灯台の下まで行くと、なにやらチドリ系の鳥の群れが落ち着きなく飛んでいました。まさか・・・と思いとりあえずシャッターを切って確認。「オオチドリ!」、春の与那国3セットのうち2つをあっさり確認。幸先が良いとルンルンで今回の宿へ向かいました。

この時は17羽確認。しれっとムナグロが混ざっていたのがおかしかったです / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)

宿に行くとおかみさんが開口一番、「バイトしない?」。なんでも、自衛隊の入隊式が近々あるらしく、関係者が多く泊まっていること、前から働いていたお手伝いさんが急にいなくなったことで人手が足りていないんだそう。とくに断る理由もなかったし、割り引いてくれるというのでこちらもokして、まずは明日の朝ごはんの手伝いをすることになったのでした。
明日はどんな出会いがあるのだろう。奄美は色々と散々だったけど、未知の島で好スタートを切れてわくわくしながら一週間ぶりの布団に潜り込みました。


つづく

2016年5月9日月曜日

春休みの旅行記もマンネリ化している気がするので、ここで休憩も兼ねて、最近徒歩圏内で出会った生き物たちを紹介。春は環境の変化を好まない自分にとっては少し憂鬱な季節ですが、生き物を見るには良い季節。

マキノスミレ。シハイスミレの変種とされています。背は低いですが春を「待ってました!」と言わんばかりに直立した葉や花が特徴の一つ
/ Nikon D300,TAMRON SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 1:1


ホソミオツネントンボ。成虫越冬する小型のトンボ。徐々に色が青みがかってきます
/ Nikon D300,TAMRON SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 1:1


モズ。コブシの花と一緒に / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)


桜絡みの鳥を狙って裏山に登ったものの、今年も惨敗に終わりました。なんとか撮れたのがこのコゲラ
Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)


枝に連なっているエナガの巣立ち雛を見つけたと後輩が教えてくれたので見に行ってみました。雛は赤い瞼が印象的でした
Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)


こちらも後輩に教えてもらった、学部棟前にいたキビタキ。狙い通り、メタセコイアの横枝に止まったところをパシャリ 
Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)


最近増えつつある外来種、マツバウンラン。除草剤が撒かれた場所にいち早く進出しているようでした
Nikon D300,TAMRON SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 1:1


田んぼの中で営巣していたのはケリ。代掻き前に孵化するか心配でしたが、どうだったのでしょうか...
Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)


まなもと