2016年11月28日月曜日

小笠原1

9月に大学の後輩たちと小笠原に行ってきた。船でしか行けず、しかも片道丸一日かかるあの夢の島である。
小笠原といえば、生き物好きならまず固有種の宝庫と考えるだろう。今回の旅の目的はもちろん、独特な固有種をこの目に焼き付け、ついでに写真も撮ろること。航路での海鳥ウォッチングも鳥好きとしては見逃せない。

近い距離ではこのアングルしか撮れず残念。亜成鳥か / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f4S(IF)

出航から1時間が過ぎたころ。未だ泥のような色をした海の上をウミネコが飛んでいるのを眺めていると、薄褐色の鳥がフェリーを追い抜いてくるのが見えた。カモメ類の幼鳥か、と双眼鏡を覗くとその特徴的な顔つきが飛び込んできた。思わず叫ぶと、後輩たちのカメラが一気にその鳥の方へ向く。あまりにも突然な出現だったため、カメラを構えるのが遅れてしまった。それでも比較的近い距離で、早速本遠征の第1号ライファー。東京湾でアカアシカツオドリを見られるとは思わなかった。
東京湾を抜けるとオオミズナギドリが増えてきた。しかし波が高くなり、デッキが立ち入り禁止になったので明日に備えて休憩することに。

燃えるような朝日 / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f4S(IF)

2日目、日の出の時刻に合わせて起床。さっそくデッキに出てみると、素晴らしい朝焼けが迎えてくれた。双眼鏡を覗くと昨日とは違うミズナギドリがたくさん飛んでいる。おがさわら丸では、非を跨ぐとオオミズナギドリからオナガミズナギドリに入れ替わるようだ。しばらく観察したあと、朝食とコーヒーを売店へ買いに行くために一旦船内に戻り、すぐにデッキに戻ってくると「オナガではなさそうな海鳥を撮った」と後輩。どうやらシロハラミズナギドリのようだ。小笠原周辺では珍しい鳥ではないが、この鳥も密かに狙っていた種類。双眼鏡とカメラを持つ手に自然と力が入った。



マッコウクジラは三回ほど見られた。写真はないが、イルカの姿も確認できた / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f4S(IF)

日が昇り、小笠原が近づいてくると、何度かマッコウクジラが姿を現した。尾を水面上にあげたりフェリーのそばを泳ぐ姿を見ることができた。ブイが浮かんでいたので双眼鏡で覗くとその上に乗っていたのはクロアジサシ。ようやく小笠原らしくなってきたと思っているころ、おがさわら丸は無事、父島に就航。ついに東洋のガラパゴスに上陸だ。

今回は母島に二泊、父島に一泊の予定だったので、小笠原に来たという感動もそこそこに、すぐにははじま丸へ乗り込んだ。手続きの途中、またもや後輩がトウゾクカモメやクロハラアジサシと思われる鳥を発見するが、どれも証拠が不十分で判定には至らなかった。



流線型の体が美しい。大好きな鳥のひとつ / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f4S(IF)

ははじま丸はおがさわら丸に比べ小さくデッキが海面に近いこともあり、観察には適している。早速トビウオ狙いのカツオドリたちがお出迎え。与那国航路でも体験したが、すぐ近くを飛ぶカツオドリを見ているのは楽しくて、全く飽きない。

オナガミズナギドリ。たくさんいたので逆に後回しになってしまい、ちゃんと写真が残っていなかった... / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f4S(IF)

マストに止まっていた最後のカツオドリが飛び立つ頃、ようやくこの日の目的地である母島に到着。宿とレンタカーの手続きを済ませて、とりあえず車でいけるだけ北の端までいってみる。

亜種オガサワラノスリ / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f4S(IF)

途中で空を見上げると、猛禽の影が。小笠原に生息する猛禽類はオガサワラノスリのみ。ラッキー!

メグロ / Nikon D300,Ai AF Nikkor ED 300mm f4S(IF)

海の見える坂道で車を止めると、木に鳥が群がっていた。メジロに似た声で鳴くのは、小笠原を代表する固有種であるメグロだ。警戒心も薄く、じっくり見ることができた。メジロと共に蜜腺に来ていたようだった。
おだやかな入り江でエゾビタキやオオイワガニ、外来種のグリーンアノールなどを観察してこの日は終了。明日の行動予定を立てつつ、潮風に揉まれた体を休めることとした。


つづく